神話の奥に隠された心の地図。
― イザナギ・イザナミと私たちの無意識 ―
日本神話に登場する神々の物語を、「心の象徴」として読み解くと、そこには驚くほど深い人間心理の構造が浮かび上がってきます。
■ イザナギ・イザナミ ― 分離と罪悪感のはじまり
黄泉の国から帰ったイザナギが禊(みそぎ)を行うことで、アマテラス・ツクヨミ・スサノヲが誕生します。これは「自我が心の奥に触れ、世界を投影しはじめた瞬間」のように見えます。
アマテラス:秩序や理性=自我の“光”の側面
ツクヨミ:静寂や内省=潜在意識や観察者
スサノヲ:感情や混沌=抑圧されたシャドウ
イザナギがイザナミを拒絶し、黄泉の国への道を岩で塞いだ行為は、「無意識に追いやった自分の一部」との断絶を象徴します。
イザナミとは、怒り、憎しみ、死、悲しみなど、人間が恐れ排除してきた側面――
まさに本来の自己の一部なのです。
■ カグツチ ― 感情の火と抑圧
イザナミが生んだ火の神・カグツチによって命を落とすという物語は、「感情(火)の力の凄まじさ」と、それを制御できない恐れを表しています。
イザナギが怒りに任せてカグツチを斬り殺すのも、自我が「怒り」や「混沌」を否定し抑圧する様子そのもの。しかし、カグツチの死からまた新たな神々が生まれることからも、破壊の中に創造があるという真理が伝わってきます。
■ 天之御中主と神世七代 ― ワンネスから分離への旅
イザナギ・イザナミよりも前に現れた神々――特に天之御中主神は、分離のない「一元的な存在」そのものの象徴かと。「宇宙の中心にある主」であり、善悪や生死、陰陽にも偏らない純粋な意識の象徴です。
その後に現れる神世七代は、陰陽、男女、火水といった対立する要素を生み出していく。
ここには「ワンネスが多様性へと展開していく過程」が表れており、私たちの意識が個として分離し、世界を体験し始める旅が始まったことを示しているのだと思う。
私が神話を「心の地図」として読むのは、「真理にたどり着くための地図」だと思うから。
八百万もの神々がいるのは、それだけ人の心の複雑さを象徴してますよね。
この「神々」も結局は私達が投影として作り出した「偶像」にすぎない。
そんな風に思うんですよね。
ちょっと難しくまとめたけど、このイメージを以前本に書いたんですね。
人間の心理、投影を理解に少し役立つかもしれません。
→書籍「古代神話の鏡開き」
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